全身でふれあい親子の絆を深める 生後6ヶ月〜1歳半向け簡単運動あそび
はじめに
新しい家族が増え、喜びとともに初めての育児に日々奮闘されていることと思います。生まれたばかりの頃とは違い、お子様が寝返りをしたり、ずりばいやハイハイを始めたりと、体の使い方が少しずつダイナミックになってくるこの時期、どのように関わって遊んであげたら良いのか迷うこともあるかもしれません。
特別な道具や広い場所がなくても、親子で気軽に体を動かすことができる「運動遊び」は、お子様の発達を促し、何よりも親子の絆を深める素晴らしい機会となります。今回は、生後6ヶ月頃から1歳半頃のお子様との触れ合いにぴったりの、全身を使った簡単な運動遊びをいくつかご紹介いたします。
全身を使った触れ合い運動遊びのすすめ（生後6ヶ月頃〜1歳半頃）
この時期のお子様は、首がすわり、寝返り、お座り、ずりばい、ハイハイと、徐々に自分で体を動かせる範囲が広がってきます。親御さんとの全身での触れ合い遊びは、お子様の体の使い方を学び、感覚を養う上で大変有効です。そして何より、大好きなおうちの方との温かい触れ合いは、お子様に安心感を与え、心の安定にも繋がります。
遊び1：ゆらゆらゆりかご
- 対象となるおおよその年齢: 生後6ヶ月頃から（首がすわってから）
- 準備するもの: 不要（安全な床や抱っこできるスペースがあればOK）
- 具体的な遊び方のステップ:
- お子様を仰向けに寝かせ、両足を持ち優しく頭の方へ動かす、または両腕を持ち優しく足の方へ動かす、といったように体をゆらゆらと揺らしてあげます。
- 慣れてきたら、親御さんが座った状態で、膝の上に仰向けやうつ伏せにお子様を乗せ、優しく体を揺らしてあげます。
- 親御さんの体に抱っこして、前後に優しくゆらゆらと揺れるのも良いでしょう。
- 遊びを通じて期待できる効果:
- 前庭覚の発達: 体の傾きやスピードの変化を感じる前庭覚（バランス感覚の基礎となる感覚）を刺激し、平衡感覚の発達を促します。
- 安心感: 親御さんの温もりと優しい揺れが、お子様に安心感を与えます。
- スキンシップ: 全身の触れ合いにより、親子の絆が深まります。
- 遊び中の子どもとの関わり方のヒント:
- 「ゆーらゆーら」「こっちかな？あっちかな？」などと優しく声をかけながら行います。
- お子様の表情をよく観察し、嫌がっていないか、楽しんでいるかを確認しながら行いましょう。
- 安全に遊ぶための注意点:
- 揺らす際は、急な動きや激しい動きは避け、必ず優しく行います。
- お子様の首や体が安定していることを確認します。
- 床で行う場合は、周囲に硬い物や危険な物が無い広い場所を選びます。
遊び2：たかいたかい、足こぎ飛行機
- 対象となるおおよその年齢: 生後6ヶ月頃から（首がすわってから）
- 準備するもの: 不要（周囲に物がない安全な場所）
- 具体的な遊び方のステップ:
- たかいたかい: お子様をしっかりと抱っこし、親御さんの無理のない範囲で、少しだけ高く持ち上げたり下ろしたりを繰り返します。お子様の体が安定するようにしっかりと支えます。
- 足こぎ飛行機: 親御さんが仰向けになり、膝を立てて足の裏にお子様を仰向けに乗せ、両手でしっかりと支えながら足を曲げ伸ばしし、まるで飛行機のように見立てて遊びます。
- 遊びを通じて期待できる効果:
- 固有受容覚の発達: 自分の体の位置や関節の動きを感じる固有受容覚を刺激し、体の使い方やバランス感覚の発達を助けます。
- 空間認識: 高低差や体の位置の変化を感じることで、空間を認識する力を養います。
- 親子の信頼関係: 親御さんに体を預けることで安心感が生まれ、信頼関係が育まれます。
- 笑顔: 多くの赤ちゃんが楽しそうに笑う遊びです。
- 遊び中の子どもとの関わり方のヒント:
- 「たかーい、たかーい！」「ひこーきぶーん！」などと明るく声をかけ、お子様の興味を引きます。
- お子様の表情に合わせて、高さを調整したり、動きのスピードを調整したりします。
- 安全に遊ぶための注意点:
- お子様をしっかりと支え、絶対に落とさないように注意します。
- 周囲にぶつかる物がない広い場所で行います。
- お子様の体調が良い時に行い、無理のない範囲で行います。食後すぐは避けましょう。
- 足こぎ飛行機の場合は、親御さんも安定した姿勢で行い、お子様の落下を防ぎます。
遊び3：お山登り・トンネルくぐり
- 対象となるおおよその年齢: ハイハイができるようになった頃から（生後7-8ヶ月頃から〜1歳半頃）
- 準備するもの: 不要（安全な床や少しスペースのある場所）
- 具体的な遊び方のステップ:
- お山登り: 親御さんが四つん這いやうつ伏せになり、背中や腰を少し高くします。お子様に「お山だよー、登ってみよう！」などと声をかけながら、親御さんの体の上をハイハイで登らせたり、またがせたりして遊びます。
- トンネルくぐり: 親御さんが四つん這いになり、お腹の下に空間を作ります。「トンネルだよー、くぐってみよう！」などと声をかけながら、お子様がハイハイで下をくぐるように誘います。
- 遊びを通じて期待できる効果:
- 粗大運動の発達: ハイハイの動きや、体を支えたり乗り越えたりする動きで、全身の筋肉や体の協調性を養います。
- 筋力アップ: 体重を支え、バランスを取りながら進むことで、体幹や四肢の筋力が鍛えられます。
- 空間認識・体の使い方: 狭い場所をくぐったり、高さを乗り越えたりすることで、自分の体のサイズや周囲の空間を把握する力を養います。
- 探求心: 新しい「道」や「障害物」に挑戦することで、探求心や達成感を育みます。
- 遊び中の子どもとの関わり方のヒント:
- 「がんばれー！」「すごいね！」と励ます声かけをしたり、お子様の名前を呼んだりしながら行います。
- 親御さんも楽しそうに声を出しながら行うことで、お子様のモチベーションに繋がります。
- 難しい場合は、親御さんが少しサポートしてあげても良いでしょう。
- 安全に遊ぶための注意点:
- 親御さんの体が安定していることを確認し、お子様が転倒しないように注意します。
- 硬い床の場合は、下にマットや毛布などを敷いて衝撃を和らげます。
- 周囲に危険な物が無いことを確認します。
- お子様が無理なくできる範囲で行い、嫌がるようなら別の遊びに切り替えます。
運動遊びを通じて期待できる発達効果
これらの全身を使った触れ合い遊びは、単に楽しいだけでなく、お子様の様々な発達を促す効果が期待できます。
- 身体能力の発達: 寝返り、ハイハイ、お座り、立つといった基本的な体の動き（粗大運動）をスムーズに行えるように、筋力やバランス感覚、体の使い方を養います。
- 感覚の発達: 前庭覚（バランス）、固有受容覚（体の位置）、触覚（肌の触れ合い）など、様々な感覚を刺激し、脳と体の連携を強化します。感覚が適切に育つことは、その後の運動能力や学習能力の基盤となります。
- 心の安定とコミュニケーション: 親御さんの温かい触れ合いや声かけは、お子様に安心感を与え、自己肯定感を育みます。遊びの中で生まれる笑顔や応答は、非言語的なコミュニケーションであり、感情表現の練習にもなります。
- 親子の絆: 一緒に笑い、触れ合い、体を動かす時間は、何物にも代えがたい親子の特別な時間です。この時間を積み重ねることで、親子の信頼関係や絆がより一層深まります。
遊びの準備や片付けを簡単にする工夫
今回ご紹介した遊びは、基本的に特別な道具を必要としません。安全なスペースさえ確保できれば、思い立った時にすぐに始めることができます。これが、準備や片付けが簡単な最大の工夫と言えます。日常生活の中のちょっとした時間、例えばおむつ替えの後や、お散歩から帰ってきて一息ついた時などに、気軽に「やってみようかな」と思える手軽さが魅力です。
まとめ
お子様との運動遊びは、何も特別な習い事をしたり、高価な遊具を揃えたりすることだけではありません。今回ご紹介したように、親御さんの体と安全なスペースがあれば、いつでもどこでも、お子様の成長に合わせた素晴らしい触れ合いの時間を持つことができます。
全身を使った触れ合い遊びは、お子様の体の発達や感覚の発達を促すだけでなく、親子のコミュニケーションを豊かにし、何よりも確かな愛情と安心感を伝える手段となります。日々の育児に追われる中でも、ほんの少しの時間、お子様と心と体を近づけて、一緒に笑い合う時間を持ってみてください。きっと、お子様の輝く笑顔と、ご自身の心が満たされるのを感じられるはずです。遊びを通じて、親子の絆を深める時間を楽しんでください。