身近な空き容器で感覚と運動能力を育む 1歳〜3歳向けおうち運動あそび
はじめに
初めての育児は喜びが多い一方で、どのように子どもと関われば良いか、特に遊び方について戸惑うことも少なくないかもしれません。特別な道具や広い場所がなくても、身近にあるものを使って気軽に始められる運動遊びは、子どもの心と体の成長を促し、親子の絆を深める大切な時間となります。
今回は、ヨーグルトやゼリーなどのプラスチック製の空き容器を使った運動遊びをご紹介します。軽くて扱いやすく、安全性にも配慮しやすい空き容器は、さまざまな遊びに展開できる優れたおもちゃになります。1歳頃から3歳頃のお子さまの発達段階に合わせて楽しめる、簡単な遊び方とその効果、そして安全に楽しむためのポイントをお伝えします。
身近な空き容器を使った運動遊び
家庭にあるプラスチック製の空き容器（ヨーグルトカップ、ゼリーカップなど）をいくつか準備してみましょう。洗って乾かせば、すぐに安全な遊び道具になります。
遊び方1：積んで、崩す
- 対象年齢の目安: 1歳頃から
- 準備するもの: プラスチック製の空き容器（複数個）
- 遊び方のステップ:
- 容器の底が上になるように、平らな床に一つ置きます。
- その上に、そっともう一つを重ねていきます。
- お子さまと一緒に、どこまで高く積めるか挑戦してみましょう。
- 積み終わったら、「わー！」などの声かけと共に、お子さまにそっと崩してもらいます。
- 期待できる効果:
- 微細運動の発達: 指先で容器をそっと置く、積み重ねる際にバランスを取る動作は、指先や手の細かい動き（微細運動）を養います。
- 集中力と忍耐力: 積み重ねる作業は集中力と、崩れないように慎重に行う忍耐力を育みます。
- 空間認識能力: 容器の形やバランスを考えながら積むことで、物の配置や空間の関係を認識する力が育ちます。
- 達成感: 高く積めた時の達成感は、お子さまの自信につながります。
- 遊び中の関わり方のヒント:
- 「もう一つ置いてみようか」「上手にできたね」など、肯定的な声かけをします。
- もし崩れてしまっても、「おっとっと！もう一回やってみよう」など、失敗を気にせず再挑戦を促します。
- 親が先に積んで見せるなど、お手本を見せることも有効です。
遊び方2：容器に入れ、出す
- 対象年齢の目安: 1歳半頃から
- 準備するもの: プラスチック製の空き容器（複数個）、新聞紙を丸めたボールや小さめのぬいぐるみなど、容器に入るサイズの軽い物
- 遊び方のステップ:
- いくつかの空き容器を床に並べます。
- 近くに、容器に入れられる物を置いておきます。
- お子さまに「このボールをこの容器に入れてみよう」と声をかけ、実際に入れて見せます。
- お子さま自身に入れてもらい、入ったら一緒に喜びます。
- 入れたものを、今度は容器から出してもらう遊びも楽しいです。
- 期待できる効果:
- 目と手の協応: 見たものに対して手を正確に動かす力（目と手の協応）が養われます。
- 集中力: 物を狙って入れる、容器から取り出すといった作業に集中します。
- 物の性質の理解: 物には形や大きさがあり、容器に入ったり出たりすることを遊びながら学びます。
- 遊び中の関わり方のヒント:
- 「ポットン！と入ったね」「〇〇ちゃん（くん）、上手に入ったね！」など、音や言葉で遊びを盛り上げます。
- 物の名前や色の名前を言いながら遊ぶと、言葉の発達も促せます。
- 入れる容器を複数用意し、「この青いボールは、こっちの容器に入れてみようか」など、簡単な指示を加えても良いでしょう。
遊び方3：転がしっこ
- 対象年齢の目安: 2歳頃から
- 準備するもの: プラスチック製の空き容器（底が丸みを帯びているものや、牛乳パックのような直方体のものでも可能）
- 遊び方のステップ:
- 床にお子さまと向き合って座ります。
- 空き容器を床に置き、お子さまの方へ向かってそっと転がします。
- お子さまに転がってきた容器を受け止めてもらい、今度は親の方へ転がしてもらいます。
- 慣れてきたら、少し距離を離したり、容器を複数同時に転がしたりしても面白いです。
- 期待できる効果:
- 粗大運動の発達: 容器を転がす、受け止める際に腕や全身を使うため、体の大きな筋肉を使う運動（粗大運動）が養われます。
- 追視: 転がる容器を目で追うことで、動くものを目で追いかける力（追視）が育まれます。
- 予測能力: 容器がどこまで転がるか、どのように転がるかを予測する力が芽生えます。
- 遊び中の関わり方のヒント:
- 「ゴロゴロ〜って来たね」「上手に返してくれたね」など、擬音語や褒め言葉を使います。
- 転がす強さを変えてみたり、「もっと遠くまでできるかな？」など、少しずつチャレンジを促します。
- 親も一緒に楽しむ姿勢を見せることが大切です。
安全に遊ぶための注意点
- 使用する空き容器は、口に入れても安全な素材で、破損していないものを選びましょう。角が尖っているものや、簡単に割れるものは避けてください。
- お子さまが遊んでいる間は、目を離さないようにしてください。
- 遊び場は、床に危険なものが落ちていないか、家具の角などにぶつかる心配がないか確認してください。
- 小さすぎるものや、お子さまが誤って飲み込んでしまう可能性のあるものは、遊び道具として使用しないでください。
準備や片付けを簡単にするための工夫
空き容器を使った遊びは、準備も片付けも非常に簡単です。遊び終わったら、まとめて袋や箱に入れるだけです。特別な道具を出す、片付けるといった手間がないため、日常生活の中に気軽に取り入れることができます。
まとめ
身近な空き容器を使った運動遊びは、特別な準備が不要で、ご家庭で気軽に始められる点が大きな魅力です。積む、入れる、転がすといった簡単な動作の中にも、お子さまの微細運動や粗大運動、目と手の協応、集中力といった様々な能力を育む要素がたくさん詰まっています。
何よりも大切なのは、お子さまと一緒に遊ぶ時間を楽しむことです。遊びを通じて「楽しいね」「もっとやりたいね」といった気持ちを共有し、たくさんの言葉を交わすことで、親子のコミュニケーションが深まり、信頼関係が育まれます。難しく考えず、お子さまの興味やペースに合わせて、今日からぜひ運動遊びを取り入れてみてください。