親子で運動あそび広場

床に貼った線の上を歩く・ジャンプ！体のコントロールと空間認識を育む親子運動あそび 1歳半頃から3歳向け

はじめに

初めての育児、毎日がお子さまの成長の発見の連続ですね。遊びを通じてお子さまとの絆を深めたいけれど、どのような遊びをすれば良いのか、特別な道具は必要かなど、様々な疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

このサイトでは、室内でも屋外でも、特別な準備や道具がなくても手軽に始められる親子向けの運動遊びをご紹介しています。今回は、ご家庭にあるテープを使って、お子さまの体の使い方や空間認識を育むシンプルな運動遊びをご紹介します。

テープを使った親子運動あそびのねらい

今回ご紹介する遊びは、床に貼った線の上を歩いたり、線をまたいだりジャンプしたりするものです。これらの動作は、お子さまの以下の能力の発達をサポートします。

• 体のコントロールとバランス感覚: 線の上を外れないように歩くことで、体の軸（体幹）やバランス感覚が養われます。
• 空間認識と距離感: 線から線への距離を測り、またいだりジャンプしたりすることで、自分と物の位置関係や距離を理解する空間認識能力が育まれます。
• 集中力と注意力を養う: 線という目印に意識を集中することで、集中力が高まります。
• 基本的な運動能力の向上: 歩く、またぐ、ジャンプするといった基本的な動きを繰り返し行うことで、下半身の筋力や協調性が向上します。

遊びを始めるために準備するもの

• 床に貼れるテープ: 養生テープやマスキングテープなど、床に糊跡が残りにくく、剥がしやすいものをご用意ください。ビニールテープなども使用できますが、後片付けを考えて剥がしやすさを優先するのがおすすめです。

具体的な遊び方

対象：おおよそ1歳半頃から3歳頃のお子さま

一人でしっかりと歩けるようになり、簡単な指示が理解できるようになる1歳半頃から楽しめる遊びです。お子さまの様子を見ながら、できる範囲で無理なく行いましょう。

1. 直線を歩いてみよう

   • 床にまっすぐな線を1本、お子さまの歩幅に合わせて数メートル貼ります。
   • 「この線の上を歩いてみようね」と声をかけ、お子さまに線の上を歩いてもらいます。
   • 最初は手をつないで一緒に歩いたり、お手本を見せたりしながらサポートします。
   • 慣れてきたら、線の上をまっすぐ、ゆっくり、とペースを変えてみたり、線から落ちないように集中することを促したりします。

2. 曲がりくねった線をたどろう

   • 床に緩やかな曲線や、いくつかの角がある線を貼ります。
   • 「次はくねくねの道だよ」「曲がるところだよ」などと声をかけながら、線の上を歩いてみます。
   • 方向転換をしたり、体の向きを変えたりする練習になります。

3. 線をまたいだり、ジャンプしてみよう

   • 床に短い直線の線をいくつか、間隔をあけて平行に貼ります。（例: 20cm、30cm、50cmなど、お子さまに合わせて間隔を調整）
   • 「この線をまたいでみようか」「ぴょんとジャンプできるかな？」と声をかけ、線の上ではなく、線を「またぐ」「越える」動きを促します。
   • 最初は簡単なまたぐ動作から始め、慣れてきたら両足ジャンプで線を越えることに挑戦してみましょう。
   • 線の間隔を少しずつ広げたり、狭めたりすることで、距離感の調整や体の使い方の練習になります。

4. 線でできた場所に入ってみよう

   • 床にテープで四角や丸などの図形を作ります。
   • 「この中に入ってみよう」「外に出てみよう」と声をかけ、図形の中と外を移動する遊びをします。
   • 図形の中にボールやおもちゃを置いて、「〇〇を持って中に入ってきてね」など、指示を加えても楽しいでしょう。空間を意識し、指示を聞いて行動する練習になります。

遊びを通じて期待できる効果

• 粗大運動能力の発達: 歩く、ジャンプするなど、全身を使う大きな動き（粗大運動）が促進されます。
• 固有受容覚の発達: 自分の体の各部分がどのような位置にあるか、どのくらいの力が入っているかを感知する固有受容覚が養われ、体の使い方を調整する力が身につきます。（固有受容覚とは、関節や筋肉からの情報によって、体の傾きや手足の位置などを把握する感覚のことです）
• 前庭感覚の発達: バランスを取りながら移動することで、体の傾きやスピードの変化を感じ取る前庭感覚が刺激されます。（前庭感覚とは、耳の奥にある三半規管などで感知する、体の傾きや揺れ、加速などを感じる感覚のことです）
• 認知能力の発達: 線という目印を追う、指示を聞いて行動するといった過程で、集中力、注意分割能力、短期記憶などが活性化されます。
• 親子のコミュニケーション促進: 「線の上だよ」「次はここだよ」「上手だね」など、遊びの中での声かけを通じて、自然な形でコミュニケーションが生まれます。

遊び中の子どもとの関わり方のヒント

• 一緒に楽しむ姿勢: お母さんやお父さんも一緒に線の上を歩いたり、ジャンプしてみせたりすると、お子さまは安心して真似しやすくなります。
• ポジティブな声かけ: うまくできたときはもちろん、少し失敗してしまったときも「惜しいね」「もう一度やってみようか」と、励ます言葉をかけましょう。結果だけでなく、挑戦する過程を褒めることが大切です。
• 無理強いはしない: お子さまが興味を示さなかったり、疲れていたりする時には、無理に続けさせないようにしましょう。遊びは楽しいものであることが一番です。
• 難易度を調整する: お子さまの発達段階やその日の気分に合わせて、線の長さを変えたり、間隔を調整したり、簡単な指示にしたりと、遊び方を柔軟に変えてみましょう。

安全に遊ぶための注意点

• 床の状態を確認: 遊ぶ場所の床が滑りやすくなっていないか確認しましょう。ラグマットの上など、滑りにくい場所を選ぶと安全です。
• 周囲の安全確保: 家具の角にぶつからないよう、遊ぶ場所の周囲に危険なものがないか確認し、十分なスペースを確保しましょう。
• お子さまの状態を観察: 疲れていないか、眠そうではないかなど、お子さまの体調をよく観察しながら行いましょう。
• 使用するテープの確認: 必ず剥がしやすいタイプのテープを使用し、床材を傷めないか目立たない場所で試してから使用することをおすすめします。

遊びの準備や片付けを簡単にするための工夫

使用するテープは、剥がしやすい養生テープなどがおすすめです。遊び終わったら、貼ったテープをまとめて一度に剥がすようにすると、片付けがスムーズに終わります。線はシンプルに数本貼るだけでも十分楽しめますので、始めから複雑な図形にせず、簡単なものから試してみましょう。

まとめ

床に貼った線を使ったシンプルな運動遊びは、特別な道具も広い場所も必要ありません。お子さまの体のコントロールや空間認識といった基礎的な運動能力の発達を促しながら、親子の楽しいコミュニケーションの時間を生み出すことができます。

日々の生活の中で、少しの時間でも良いので、お子さまと一緒に体を動かす遊びを取り入れてみてください。遊びを通じてお子さまの成長を感じられることは、育児の大きな喜びとなるでしょう。ぜひ気軽に試してみてください。