体の使い方と追視能力を育む 身近なもので楽しむ『追いかける』親子運動あそび 生後8ヶ月頃〜2歳向け
はいはいやあんよがもっと楽しくなる『追いかける』運動あそび
お子さまがはいはいやあんよを始める頃になると、行動範囲が広がり、様々なものへの関心が高まります。この時期は、全身を使って移動する基本的な運動能力が著しく発達する大切な時期です。同時に、目で見たものに注意を向け、それを追いかける「追視」の力も育まれます。
今回は、おもちゃや光など、ご家庭にある身近なものを使ってお子さまの「追いかける」動きを楽しく促す親子運動あそびをご紹介します。特別な準備は不要で、お子さまの興味を引き出しながら、体の使い方や視覚の発達をサポートし、親子の温かいコミュニケーションを育むことができます。
遊び方:身近なもので『追いかける』
1. おもちゃを使った追いかけ遊び(はいはい期〜)
お子さまがはいはいで移動できるようになった頃から楽しめる遊びです。
準備するもの: * お子さまが普段から好きな小さなおもちゃやぬいぐるみ
遊び方: 1. 安全な床の上で、お子さまの目の前におもちゃを見せます。 2. お子さまがそのおもちゃに興味を持ったことを確認します。 3. お子さまから見て、少しだけ手の届かない距離におもちゃを置きます。 4. 「〇〇ちゃん、どうぞ」「がんばって!」など、優しい声かけをしながら、おもちゃに向かってはいはいで進むように促します。 5. お子さまがおもちゃにたどり着き、手に取ることができたら、「やったね!」「すごい!」と一緒に喜び、たくさん褒めてあげてください。 6. 慣れてきたら、おもちゃを置く距離を少しずつ長くしたり、お子さまの視界に入るところでゆっくりと動かして追いかけさせたりするのも良いでしょう。
2. おもちゃを使った追いかけ遊び(あんよ期〜)
つかまり立ちやあんよができるようになったお子さま向けの遊びです。
準備するもの: * お子さまが普段から好きな小さなおもちゃやぬいぐるみ
遊び方: 1. 親御さまがおもちゃを手に持ちます。 2. お子さまに「このおもちゃ、どうぞ」と見せながら、ゆっくりと後ろに下がる、あるいは数歩だけ離れた場所に移動します。 3. お子さまがおもちゃに向かってあんよで追いかけてくるように促します。 4. お子さまがおもちゃに追いついたら、優しく渡してあげ、「よくできたね」と褒めます。 5. 慣れてきたら、少しだけ移動のスピードを速くしたり、方向を変えたりと変化をつけると、さらに楽しめるでしょう。ただし、お子さまが転ばないよう十分な配慮が必要です。
3. 光を使った追いかけ遊び(はいはい期〜あんよ期)
懐中電灯などの光を使った遊びは、特に追視能力を促すのに効果的です。
準備するもの: * 懐中電灯(お子さまが直接光を見ないように注意してください)
遊び方: 1. 部屋を少し薄暗くします。 2. 壁や床に懐中電灯の光を当てます。 3. お子さまが光の点に気づき、興味を持ったことを確認します。 4. 光の点を、お子さまの視界の中でゆっくりと動かします。お子さまが目で追ったり、光に向かってはいはいやあんよで移動したりするように促します。 5. 「光さん、どこかな?」「まてまて〜」など、声かけをしながら行います。 6. お子さまが光の点にたどり着いたように見えたら、「つかまえた!」と一緒に喜んでみましょう。 7. 光の動きを大きくしたり小さくしたり、速さを変えたりすることで、様々な視覚刺激を与えることができます。
遊びを通じて期待できる効果
- 全身運動の発達: はいはい、あんよ、歩くといった移動運動の基礎をしっかり養います。体の使い方を学び、バランス感覚や体幹(体の中心部分)の安定性を高めることにつながります。
- 追視能力の向上: 目で見たものを正確に追いかける能力(追視)は、その後の学習や運動能力の発達において非常に重要です。動くおもちゃや光を追うことで、視覚と体の動きを連動させる力が養われます。
- 空間認識の発達: 目的のおもちゃや光までの距離や位置を把握し、安全にたどり着くための体の動かし方を学ぶことで、空間を認識する力が育まれます。
- 意欲と達成感: 自分で目標に向かって移動し、おもちゃにたどり着く、あるいは光をつかまえるといった成功体験を積み重ねることで、主体的に行動する意欲や、やり遂げたことによる達成感を得られます。
- 親子のコミュニケーション: 親御さまの声かけや励まし、そして成功を一緒に喜ぶ経験は、お子さまに安心感を与え、親子の信頼関係や情緒的な絆を深めます。
遊び中の関わり方のヒント
お子さまが遊びをより楽しめるように、そして安心して取り組めるように、親御さまからの温かい関わりが大切です。
- ポジティブな声かけ: 「がんばれ」「すごいね」「あと少しだよ」といった励ましの言葉や、「楽しいね」「面白いね」といった共感の言葉をたくさんかけましょう。
- 成功を共に喜ぶ: お子さまがおもちゃにたどり着いたり、光を追いかけたりできたら、「やったー!」「できたね!」と満面の笑顔で褒め、抱きしめるなどスキンシップを取りながら喜びを分かち合いましょう。
- 無理強いはしない: お子さまが疲れている様子や興味を示さない場合は、無理に続けさせず、別の遊びに切り替えたり、休憩したりすることが大切です。お子さまのペースに合わせて遊びましょう。
安全に遊ぶための注意点
- 場所の確保: 遊ぶ場所の床に、誤飲の可能性がある小さなものや、お子さまがぶつかって怪我をする危険のあるもの(家具の角など)がないかを必ず確認してください。十分なスペースを確保しましょう。
- 床の状態: 床が滑りやすい素材でないか確認し、必要であればマットなどを敷く配慮をしてください。
- お子さまの状態: お子さまの体調が良いときに行いましょう。空腹時や眠い時間帯は避け、機嫌の良いときを選ぶと楽しく遊べます。
- 光の使用: 懐中電灯の光をお子さまの目に直接当てないように、細心の注意を払ってください。
遊びの準備や片付けを簡単にする工夫
この遊びで使うのは、普段からお子さまが使っているおもちゃや、ご家庭にある懐中電灯だけです。特別な道具を準備する必要がなく、思いついたときに気軽に始められます。遊びが終わった後も、使ったおもちゃを元の場所に戻すだけなので、片付けに時間や手間がかかることはありません。
まとめ
身近なものを使った『追いかける』運動あそびは、はいはいやあんよが活発になる時期のお子さまにとって、全身の運動能力、視覚の発達、そして主体性や達成感を育む素晴らしい機会となります。そして何よりも、親御さまとの温かい触れ合いや声かけを通じて、安心感や愛情を感じながら、お子さまの心と体は大きく成長していきます。
難しく考える必要はありません。安全な環境で、お子さまの「やってみたい」という気持ちを大切にしながら、親子で一緒に楽しむ時間を作ってみてください。毎日のちょっとした時間に運動遊びを取り入れることで、お子さまの成長を間近で見守り、親子の絆をより一層深めることができるでしょう。