おうちの洗濯物でできる簡単運動あそび 日常の動作で全身と手先を育む 1歳半頃から3歳向け
はじめに
日々の育児、そして毎日の家事、特に洗濯は大変な作業です。積み上がった洗濯物を見るたびに、少し気持ちが重くなることもあるかもしれません。しかし、この身近にある「洗濯物」が、お子さまとの楽しい運動遊びの素晴らしい道具になることをご存知でしょうか。
特別な準備や広い場所は必要ありません。いつものおうちの中で、洗濯物を使いながら、お子さまの体の発達を促し、親子のコミュニケーションを深めることができます。今回は、1歳半頃から3歳頃のお子さまと一緒に楽しめる、洗濯物を使った簡単な運動遊びをご紹介します。
洗濯物運動あそびの魅力
洗濯物を使った運動遊びの最大の魅力は、その手軽さにあります。新たに何かを購入する必要はなく、おうちにあるものがそのまま遊び道具になります。また、洗濯という日常的な家事と遊びを結びつけることで、お子さまがお手伝いに興味を持つきっかけにもなり得ます。
洗濯物の素材の多様性(タオル、衣類など)や、たたみ方、運ぶ、投げるなど、様々な動作を取り入れることで、お子さまの粗大運動(全身を使った大きな動き)や微細運動(指先を使った細かい動き)、そして感覚の発達をバランス良く促すことが期待できます。
具体的な洗濯物運動あそび
いくつか簡単にできる遊び方をご紹介します。お子さまの興味やその日の状態に合わせて、無理なく楽しんでください。
1. 洗濯物運びっこ
洗濯物を入れる「洗濯かご」や、たたんだ洗濯物を指定の場所へ運ぶ遊びです。
- 準備するもの: 洗濯かご(柔らかい素材の軽いものが安全です)、タオルや衣類などの洗濯物。
- 遊び方:
- 洗濯かごに、お子さまが持てるくらいの量の洗濯物を入れます。
- 「このかご、あっちのお部屋に運んでくれる?」などと声をかけ、一緒に運びます。
- たたんだ洗濯物を「これは〇〇ちゃんのお洋服だから、タンスまで運んでね」などと声をかけながら、一緒に運んでみましょう。
- 期待できる効果: かごを持ったり、体の向きを変えたりする全身運動、バランス感覚、力加減の調整、空間認識能力の発達が期待できます。親子の共同作業として、責任感や達成感も育まれます。
- 子どもとの関わり方: 「よいしょ、よいしょ」「運んでくれてありがとう、助かるわ!」など、肯定的な声かけで励ましましょう。重すぎる場合は無理させず、持つ量を調整したり、一緒に持ったりしてください。
- 安全上の注意点: かごにつまずかないよう、周囲に物を置かないようにします。重すぎるかごを持たせないように注意してください。
2. 洗濯物またぎ・くぐり
干してある洗濯物の下をくぐったり、低く張った竿や紐をまたいだり、くぐったりする遊びです。
- 準備するもの: 低めに干した洗濯物、または低い位置に安全に張れる竿や紐。
- 遊び方:
- ベランダや室内物干しなど、お子さまが安全にくぐれる高さに洗濯物を干します。または、部屋の角などに低い位置で安全な竿や紐を張ります。
- 「干してあるお洋服の下をくぐってみよう!」「この紐をまたげるかな?」などと声をかけ、お子さまが体の動きを意識できるよう促します。
- 慣れてきたら、「今度はハイハイでくぐってみよう」「バックでくぐれるかな」など、難易度を上げてみるのも良いでしょう。
- 期待できる効果: 股関節や膝の屈伸運動、体のバランス感覚、空間認識能力、体のコントロール能力(粗大運動)が養われます。
- 子どもとの関わり方: 「すごいね!上手にくぐれたね」「足が高い!」「ぶつからないように気をつけてね」など、具体的な動きを褒めたり、次に繋がるヒントを与えたりします。
- 安全上の注意点: 物干し竿や紐が落ちてこないよう、しっかりと固定されているか確認します。お子さまが洗濯物を強く引っ張って転倒したりしないよう、見守りが必要です。周囲に危険な角や段差がないか確認しましょう。
3. 洗濯物たたみ・仕分けっこ
タオルや簡単な衣類をたたんだり、色や種類ごとに仕分けたりする遊びです。
- 準備するもの: タオルやハンカチ、靴下、簡単な衣類などの洗濯物。
- 遊び方:
- たたむのが簡単なタオルなどを選び、「ママと一緒にタオルをきれいにしようね」と誘います。
- たたむ動作を見せながら、一緒に手を動かしてみます。お子さまができる範囲で、一緒に角を合わせたり、半分に折ったりします。
- 色や種類(タオル、靴下、Tシャツなど)ごとに「これは青い服ね」「これは靴下さん」などと声をかけながら、指定の場所に積み重ねたり、分けたりします。
- 期待できる効果: 指先を使った細かい動き(微細運動)の発達、集中力、観察力、分類能力が育まれます。また、お手伝いを通じて自己肯定感や達成感を得られます。
- 子どもとの関わり方: 「おててを使って上手にできたね」「〇〇ちゃんのお洋服はどれかな?探してみようか」「一緒にたたむとおもしろいね」など、具体的な行動を褒め、作業そのものを楽しむように促します。完璧にできなくても大丈夫です。
- 安全上の注意点: 小さな洗濯物(靴下など)を口に入れないよう注意が必要です。
遊びの準備や片付けを簡単にする工夫
洗濯物を使った遊びは、家事の流れの中で自然に始めることができます。「お洗濯を手伝ってくれる?」という声かけで遊びを始めれば、遊びながら洗濯が進み、片付けも兼ねることができます。遊びが終わったら、「おしまい、きれいにたたんでお片付けしようね」と一緒に元の場所に戻す習慣をつけることで、片付けの練習にもなります。
まとめ
毎日向き合う洗濯物が、お子さまにとっては発見と成長の宝庫になり得ます。たたむ、運ぶ、またぐ、くぐる、投げる。それぞれの動作を通じて、お子さまは様々な体の使い方を学び、バランス感覚や巧緻性を高めていきます。そして何より、洗濯物を介した親子の触れ合いは、特別な時間となり、絆をより一層深めてくれるでしょう。
完璧を目指す必要はありません。お子さまが楽しむこと、そして親子の時間を大切にすることを一番に考えて、ぜひ今日から身近な洗濯物を使った運動遊びを試してみてください。日常の中に隠された、運動遊びのヒントはたくさんあります。