身近なもので親子で楽しむ『またぐ・くぐる』運動遊び 体の使い方と空間認識を育む 1歳〜3歳向け
初めての育児は、お子様との日々の関わり方、特にどのように遊んだら良いのかについて、戸惑いを感じることも少なくないかもしれません。特別な道具がなくても、おうちにある身近なものでできる運動遊びは、お子様の心と体の成長を促し、親子の絆を深める素敵な機会となります。
今回は、1歳頃からのお子様が楽しめる「またぐ」「くぐる」といった体の動きを使った運動遊びをご紹介します。これらのシンプルな動きの中には、お子様の成長にとって大切な要素がたくさん詰まっています。
『またぐ・くぐる』運動遊びの魅力と期待できる効果
「またぐ」ことや「くぐる」ことは、日常の中の基本的な体の動きです。この遊びを通じて、お子様は以下のような様々な能力を育むことができます。
- 粗大運動の発達: 脚を上げたり、しゃがんだり、這ったりといった全身を使った大きな動き（粗大運動）を繰り返し行うことで、体全体の筋力やバランス感覚が養われます。粗大運動とは、歩く、走る、跳ぶ、投げるなど、体幹や手足を使った全身的な大きな動きのことです。
- 空間認識能力: 障害物の高さや大きさを判断し、どのように体を動かせば通過できるのかを考える過程で、物と自分の体の位置関係を把握する空間認識能力が育まれます。空間認識能力とは、物体が空間内でどのような位置や形状になっているかを認識する能力です。
- 体の使い方の習得: 姿勢をコントロールしたり、体の各部分を協調させて動かしたりする練習になり、自分の体を思い通りに動かす感覚（固有受容覚）が磨かれます。固有受容覚とは、自分の体の位置や動き、力の入れ具合などを感知する感覚のことです。
- 問題解決能力と達成感: どのようにすればうまく通過できるか工夫したり、繰り返し挑戦して成功したりすることで、自ら課題を解決する力や、できたときの達成感を経験できます。
- 親子のコミュニケーション: 「がんばれ」「すごいね」といった声かけや、一緒に体を動かすことで、言葉や触れ合いを通じた温かいコミュニケーションが生まれ、安心感と信頼関係が育まれます。
遊び始めるために準備するもの
この遊びの良い点は、特別な道具がほとんど必要ないことです。おうちにあるもので、安全に配慮しながら簡単に環境を作ることができます。
- クッションや座布団
- バスタオルや毛布（丸めたり、棒状にしたりして使用）
- 椅子の下やテーブルの下の空間
- 段ボール箱（蓋を開けてトンネル状にするなど）
- 低い家具（お子様が安全にまたげる高さのもの）
具体的な遊び方ステップ
お子様の月齢や発達段階に合わせて、無理なく楽しめるように調整してください。最初は簡単な設定から始め、慣れてきたら少しずつ難易度を上げていくのが良いでしょう。
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低い障害物を「またぐ」:
- 床にクッションや丸めたバスタオルを置きます。
- 親が見本を見せながら、「よいしょ」などの声かけをします。
- お子様が障害物をまたいで向こう側へ行けるように促します。手を持って補助したり、お気に入りのお絵かき帳やおもちゃを障害物の向こうに置いて誘導したりするのも効果的です。
- 最初は低いものから始め、慣れてきたら少しだけ高さを出してみることもできます。
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椅子の下や箱を「くぐる」:
- 安定した椅子を置き、その下の空間をお子様が這って通れるようにします。または、段ボール箱の両端を開けてトンネルのようにします。
- 「トンネルだね」「くぐってみようか？」などと声をかけながら促します。
- 親も一緒にお手本を見せたり、先にくぐって向こう側で待っていたりすると、お子様は安心して挑戦しやすくなります。
- 慣れてきたら、長さのあるトンネルにしたり、複数の障害物を組み合わせたりすることも可能です。
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障害物を組み合わせたミニコース:
- 「またぐ」障害物と「くぐる」障害物をいくつか組み合わせて、簡単なお子様向けのコースを作ってみます。
- 「まずはクッションをまたいで、次はこの箱をくぐって、最後にこのタオルをまたいでゴールだよ」のように、順番を伝えることで、指示を聞く力や記憶力も養われます。
- タイムを測ってみたり、親が一緒にコースを回ったりするのも楽しいでしょう。
遊び中の子どもとの関わり方のヒント
お子様が遊びを楽しむためには、親御さんの関わり方が大切です。
- 肯定的な声かけ: 「できるかな？」「がんばれ」「やったね、できた」など、挑戦する過程や成功したときに具体的な言葉で褒めて、励ましましょう。
- 無理強いはしない: お子様が乗り気でないときや疲れているときは、無理に続けさせず、別の遊びに切り替えたり休憩したりすることも大切です。遊びは楽しいものであることが最も重要です。
- 安全な見守り: お子様が安全に遊べているか常に目を配り、必要に応じてすぐにサポートできる体勢でいましょう。
- 一緒に楽しむ: 親御さんも一緒に体を動かしたり、楽しそうに笑ったりすることで、お子様はさらに安心して遊びに集中できます。
安全に遊ぶための注意点
お子様が安全に運動遊びを楽しむために、以下の点に注意しましょう。
- 安全な場所を選ぶ: 滑りにくい床で、周囲にぶつかる可能性のある硬い家具の角や倒れやすいものがない広いスペースを選びましょう。
- 道具の安全性確認: 使用するクッションや箱などが安定しており、お子様がぶつかっても怪我をしにくい柔らかさや形状であることを確認してください。破損しているものは使用しないでください。
- お子様の状態を見る: 眠い、お腹が空いている、機嫌が悪いなど、お子様の体調や気分が優れない時は無理に遊ばせず、様子を見ましょう。
- 大人の見守りは必須: 遊んでいる最中は、お子様から目を離さず、万が一の際にすぐに手を差し伸べられるようにしてください。特に、物をまたぐ際に転倒したり、くぐる際に頭をぶつけたりしないよう注意が必要です。
遊びの準備や片付けを簡単にする工夫
使ったものをすぐに元の場所に戻す習慣をつけると、準備も片付けも楽になります。クッションならソファに、バスタオルなら洗濯物入れに、といったように、置き場所を決めておくと良いでしょう。お子様が大きくなってきたら、「一緒にお片付けしようね」と声をかけ、遊びの一環として片付けを取り入れるのもおすすめです。
まとめ
「またぐ」「くぐる」といった身近な動きを取り入れた運動遊びは、特別な準備や道具がなくても、お子様の体の発達を促し、空間認識能力や問題解決能力を育む素晴らしい機会となります。何よりも、親子の温かい触れ合いの中で、お子様は安心感を抱き、遊びを通じて様々な学びを得ることができます。
ぜひ、おうちにあるものを活用して、お子様と一緒に楽しみながら、心と体を育む豊かな時間を過ごしてください。今日の遊びが、明日への成長につながることでしょう。