おうちにあるもので安全な『ミニ障害』に挑戦！体の使い方を育む親子運動あそび 1歳頃から3歳向け
新しい生活リズムの中で、お子様との遊び方に様々な思いを巡らせている方もいらっしゃるかもしれません。特別な道具を用意したり、時間をかけたりすることなく、気軽にできる運動遊びで、お子様との触れ合いの時間を豊かにしたいとお考えであれば、身近なものを使った遊びは大変有効な選択肢となります。
今回は、おうちにあるクッションや洗濯かごなどを活用し、お子様が安全な「ミニ障害物」を乗り越えることに挑戦する運動遊びをご紹介します。この遊びを通じて、お子様は体の使い方やバランス感覚を養い、親子のコミュニケーションを深めることができます。準備や片付けも簡単ですので、ぜひ日常の遊びに取り入れてみてください。
おうちにあるもので『ミニ障害』に挑戦！
この遊びは、お子様が障害物を「またぐ」「跨ぐ」「少しだけ乗り越える」といった動きを安全に行うことを目的としています。歩行が安定してくる1歳頃から、簡単な指示が理解できるようになる3歳頃までのお子様にお楽しみいただけます。
対象となるおおよその年齢や月齢
1歳頃から3歳頃
※お子様の運動発達には個人差があります。無理なく、お子様のペースに合わせて行うことが大切です。
遊びを始めるために準備するもの
- クッション
- 座布団
- バスタオルを丸めたもの
- 洗濯かご（軽いもの、口が広いもの）
- 小さめの段ボール箱
- その他、お子様が安全に「またぐ」または「少しだけ乗り越える」ことができる、低く柔らかい身近なもの
特別な道具は必要ありません。ご家庭にある、お子様が怪我をする心配のない、安全なものを選びましょう。
具体的な遊び方のステップ
- 安全な場所の確保: 部屋の中で、十分な広さがあり、周囲に角のある家具や倒れやすいものがない場所を選びます。床に滑りやすいものがないか確認し、片付けます。
- ミニ障害物の設置: 準備したクッションや洗濯かごなどを、床に数カ所置きます。高さは、お子様が少し頑張れば「またぐ」「跨ぐ」ことができる程度の低さに設定します。最初は低いものから始めましょう。間隔を少し空けて配置すると、次の障害物へ進む動きも生まれます。
- 遊びの開始:
- まず、親が見本を見せて「〇〇（クッション）をまたいでみようね」「よいしょ、と越えてみよう」などと声をかけながら、ゆっくりと実演します。
- 次にお子様に挑戦を促します。最初は手をつないだり、体を支えたりしながら、一緒に乗り越えてみます。
- お子様が慣れてきたら、少し距離を置いて見守り、「〇〇ちゃん、がんばれ！」「あと少し！」と応援したり、「右足をあげて、次は左足だよ」などと具体的に声かけしたりします。
- うまく乗り越えられたら、「できたね！すごい！」とたくさん褒めて、達成感を共有します。
- 障害物の置き方を変えたり、違う種類の障害物を置いてみたりして、変化をつけても良いでしょう。
遊びを通じて期待できる効果
- 身体能力の発達:
- 粗大運動：またぐ、跨ぐ、バランスを取る、といった全身を使った大きな動き（粗大運動）を促します。
- バランス感覚: 障害物を乗り越える際に、自然と体のバランスを取ろうとするため、バランス感覚が養われます。
- 脚力・体幹: 足を高く上げたり、体を支えたりすることで、脚力や体の軸となる体幹を意識することにつながります。
- 全身の協調性: 目で障害物を見て、どれくらい足を上げれば良いかを判断し、実際に体を動かすという一連の動作で、目と体の協調性が育まれます。
- 感覚の発達:
- 固有受容覚: 自分の体の位置や動き（足をどのくらい上げているか、体が傾いていないかなど）を把握する感覚（固有受容覚）が刺激され、体の使い方への意識が高まります。
- 空間認識: 障害物と自分との距離感や高さを認識し、どのように体を動かせば安全に乗り越えられるかを考える過程で、空間認識能力が養われます。
- 親子のコミュニケーション促進:
- 「がんばれ」「できたね」といった声かけや、一緒に挑戦する時間を通じて、お子様は安心感や信頼感を得て、親子の絆が深まります。
- 成功体験を共有することで、喜びや達成感を分かち合うことができます。
- 感情表現:
- 「自分でできた」という成功体験は、お子様の自信につながり、挑戦する気持ちや探求心を育みます。
遊び中の子どもとの関わり方のヒント
- 無理強いはせず、お子様の「やってみたい」という気持ちを尊重しましょう。興味を示さない場合は、別の遊びに切り替えたり、日を改めて誘ってみたりしてください。
- 成功した時はもちろん、たとえ失敗しても、「挑戦したこと」や「少しでも前に進んだこと」を具体的に褒めてあげましょう。「〇〇をまたごうとしたね、えらいね」など、過程を褒めることで、次への意欲につながります。
- 親が楽しんでやって見せることが、お子様にとって一番の刺激になります。一緒に声を出したり、効果音をつけたりしながら、遊びを盛り上げましょう。
安全に遊ぶための注意点
- 設置するミニ障害物は、必ず低く、柔らかく、お子様が転倒しても怪我をする可能性が低いものを選びましょう。硬いものや角のあるものは避けてください。
- 障害物の高さは、お子様の現在の発達段階に合わせて調整してください。最初は床にバスタオルを置くだけ、などごく簡単なものから始めるのがおすすめです。
- 遊びのスペースには、お子様がぶつかる可能性のある家具などを置かないように注意しましょう。
- 遊びの間は、決してお子様から目を離さないようにしてください。万が一、バランスを崩しそうになったら、すぐに支えられるように準備しておきましょう。
- お子様の体調が良い時に行い、疲れている様子が見られたらすぐに中止してください。
遊びの準備や片付けを簡単にするための工夫
この遊びの良い点は、特別な道具が不要で、準備も片付けも非常に簡単なことです。
- 遊びに使うものは、普段からすぐに手に取れる場所に置いておくとスムーズです。
- 遊び終わったら、「〇〇（洗濯かご）をおうちに戻してあげようね」などと声をかけながら、お子様と一緒に元の場所に戻す習慣をつけると、片付けも遊びの一環として楽しめます。
- 使用するものを限定すれば、片付けもあっという間に終わります。
まとめ
身近なものを使ったミニ障害への挑戦は、お子様が楽しみながら多様な体の使い方を学び、身体能力や感覚をバランス良く発達させる素晴らしい機会となります。何よりも大切なのは、親御さんがお子様と一緒に遊びを楽しみ、たくさんの肯定的な関わりを持つことです。遊びを通じてお子様が得る達成感や自信は、その後の様々なことへ挑戦する意欲につながります。
特別な準備は不要です。今日からでも、おうちにあるものを活用して、お子様との運動遊びの時間を始めてみませんか。その時間が、親子の温かい絆を育む一歩となることを願っております。