狙ってポイ!キャッチ!身近なもので楽しむ『投げる・捕る』運動あそび 集中力と体の使い方を育む 2歳頃から3歳向け
はじめに
お子様が成長し、体をダイナミックに動かすことに興味を持ち始める2歳頃。歩く、走るに加え、「投げる」「捕る」といった動きも少しずつできるようになってきます。これらの動きは、体全体の協調性や目と手の連携を育む上で非常に大切です。
初めての育児では、どんな遊びを取り入れたら良いか迷われることもあるかもしれません。また、特別な道具を準備したり、片付けに手間がかかる遊びは負担に感じられることもあるでしょう。
この記事では、ご家庭にある身近なものを使って、気軽に楽しめる「投げる・捕る」運動遊びをご紹介します。お子様の成長を促しながら、親子のコミュニケーションを深めるヒントになれば幸いです。
『投げる・捕る』遊びが育む力
「投げる」「捕る」という一連の動作には、お子様の様々な能力を育む効果が期待できます。
- 粗大運動能力の発達: 体の大きな筋肉を使ったダイナミックな動き(投げる、腕を振る、体をひねる、手を伸ばす、バランスを取るなど)を促します。
- 目と手の協調(視覚・運動統合): 目で見た対象物(ボールや目標物)に合わせて、体をどう動かすか調整する能力が養われます。これは日常生活の様々な動作の基礎となります。
- 集中力と空間認識: 目標を定めて投げる、飛んでくるものを受け止めようとすることで、対象に集中し、自分と対象物との距離感や方向を認識する力が育まれます。
- 体の調整力: 投げる力加減や、捕るために手を出すタイミングなど、体の動きをコントロールする力が発達します。
- 親子のコミュニケーションと協調性: 親子でボールのやり取りをすることで、言葉やジェスチャーでのやり取りが生まれ、互いの動きに合わせて協力する経験を積むことができます。
準備するもの
ご紹介する遊びは、特別な道具はほとんど必要ありません。ご家庭にあるもので気軽に始められます。
- 新聞紙やチラシ
- 靴下(数枚)
- 段ボール箱、洗濯かご、バケツなど(目標物として使用)
- 柔らかい布やタオル(ボールの代わりや的として使用)
遊び方のご紹介
ここでは、身近なものを使った「投げる・捕る」遊びを2つご紹介します。
遊び方①:新聞紙ボールで「狙ってポイ!」
新聞紙を丸めて作った柔らかいボールを、目標物に向かって投げる遊びです。室内でも安全に楽しめます。
対象となるお子様: 2歳頃から(投げる動作ができるようになったら)
準備:
- 新聞紙やチラシを数枚用意し、ぎゅっと丸めて柔らかいボールをいくつか作ります。
- 段ボール箱や洗濯かごなど、口の開いた箱や容器を目標物として置きます。
遊び方のステップ:
- お子様と目標物の間に立ちます。最初は目標物のすぐ近くから始めましょう。
- 「この箱の中にポイしようね!」と声かけしながら、新聞紙ボールを手に取ります。
- お子様と一緒に、目標物に向かってボールを投げ入れます。「それー、ポイ!」など、掛け声をかけると楽しい雰囲気になります。
- 目標物に入ったら、「入ったね!すごいね!」と褒めてあげましょう。入らなくても、「惜しかったね!もう一回やってみよう!」と励まします。
- 慣れてきたら、少しずつ目標物との距離を離していきます。
- 目標物を複数用意したり、的の大きさを変えたりするのも変化が生まれます。
安全に遊ぶための注意点:
- 周囲にぶつかりやすい家具や壊れやすいものがないか確認してから行いましょう。
- 目標物を床に安定して置きます。
- お子様が無理な体勢にならないよう、様子を見ながら進めます。
準備や片付けを簡単にする工夫:
新聞紙ボールは、遊び終わったら新聞紙としてまとめて捨てるか、またすぐに遊べるように箱などに入れておけば片付けも簡単です。
遊び方②:靴下ボールで「親子でキャッチ!」
丸めた靴下や柔らかい布ボールを使って、親子の間でボールをやり取りする遊びです。飛んでくるものを受け止めようとする動作を促します。
対象となるお子様: 2歳半頃から(投げる・捕るの基本的な動きが少し安定してきたら)
準備:
- 丸めた靴下や、柔らかい布でできたボールを用意します。最初は大きめの柔らかいものがおすすめです。
- 親子が安全に向かい合える、周囲に物がないスペースを確保します。
遊び方のステップ:
- 親子で向かい合って立ちます。最初は腕を伸ばせば届くくらいの近い距離から始めましょう。
- 親が「どうぞ!」と声をかけながら、お子様に向けて優しく靴下ボールを投げます。山なりの優しいボールが良いでしょう。
- お子様が受け止めようと手を伸ばしたら、「上手だよ!」「がんばれ!」と応援します。
- お子様がボールをキャッチできたら、「やったね!取れたね!」と一緒に喜びましょう。
- 今度はお子様から親へボールを投げてもらうように促します。「ママにポーンてしてみて!」などと声をかけます。
- お子様が投げたボールを受け止め、「ありがとう!」と伝えます。
- 慣れてきたら、少しずつ距離を離したり、ボールの速さを調整したりします(お子様の様子を見ながら無理なく)。
安全に遊ぶための注意点:
- 硬いボールや重いものは使用しないようにします。
- お子様の顔や体に強く当たらないよう、必ず優しく投げてください。
- お子様が遊びに集中できない場合や、嫌がる場合は無理強いせず、別の遊びに切り替えましょう。
準備や片付けを簡単にする工夫:
使った靴下や布ボールは、遊び終わったら洗濯物として処理するか、すぐに遊べる場所にまとめて置いておくだけなので、片付けに時間はかかりません。
遊び中の関わり方のヒント
これらの遊びを通して、お子様との絆を深めるためには、親御さんの関わり方がとても重要です。
- 褒める、励ます: 結果だけでなく、投げる・捕ろうとする「プロセス」や「頑張り」をたくさん褒めてあげましょう。「今の体の使い方が上手だったね」「諦めずに手を伸ばしたね、えらい!」など、具体的に伝えるのも効果的です。
- 一緒に楽しむ: 親御さん自身も笑顔で遊びに参加し、楽しむ姿勢を見せましょう。お子様は親御さんの楽しそうな様子を見ることで、遊びへの興味や意欲を高めます。
- 見守る: お子様が自分で考えて工夫しようとする姿を見守りましょう。すぐに手を出さず、少し待ってみることも大切です。
- 安全第一で: 危険な行動をしようとした時には、穏やかに、でもしっかりと伝えるようにします。「周りを見てから投げようね」「優しく投げようね」など、具体的な言葉で教えます。
まとめ
「投げる」「捕る」というシンプルな動きは、お子様の身体的な発達だけでなく、集中力やコミュニケーション能力など、多くの大切な力を育みます。ご紹介した遊びは、ご家庭にある身近なもので、特別な準備なく始められます。
完璧にできなくても全く問題ありません。遊びの中で、お子様が体を動かす楽しさや、目標に向かって挑戦する気持ち、そして親御さんと一緒に遊ぶことの喜びを感じられることが最も大切です。
慌ただしい日常の中でも、少しの時間を使ってお子様と一緒に体を動かす遊びを取り入れてみてはいかがでしょうか。遊びを通じて、お子様の成長を間近に感じ、親子の温かい時間を積み重ねていかれることを願っています。