親子でいっしょに『まねっこ』遊び 体の動かし方と観察力、コミュニケーションを育む室内運動あそび 1歳頃から3歳向け
初めてのお子さまとの毎日、どのように一緒に遊んだら良いのか、特別な道具や準備が必要なのではと戸惑われることがあるかもしれません。この記事では、そんな方に向けて、おうちで手軽に始められる「まねっこ遊び」という親子向け運動あそびをご紹介します。
「まねっこ遊び」は、親が見せた体の動きを子どもが真似するというシンプルな遊びです。特別な道具は一切必要なく、思い立ったときにいつでも、どのような場所でも行うことができます。遊びを通して、お子さまの身体能力の発達、様々な感覚の刺激、そして何より親子の温かいコミュニケーションを育むことが期待できます。
「まねっこ遊び」で育む力
この遊びは、お子さまの成長にとって多くの大切な要素を含んでいます。
- 身体能力の発達: 親の体の動きを真似することで、全身を使った大きな動き(粗大運動)や、指先などの細かい動き(微細運動)を練習します。体の様々な部分の使い方を知り、バランス感覚や協調性を養うことにつながります。
- 感覚の発達: 親の動きをよく見て真似しようとする際に、視覚が重要な役割を果たします。また、自分の体がどのように動いているか、どこに力が入っているかを感じ取る「固有受容覚(こゆうじゅようかく)」の発達も促されます。
- 認知能力の発達: 親の動きを観察し、記憶し、再現しようとする過程で、観察力、記憶力、集中力が養われます。また、「同じようにやってみようね」といった声かけを通じて、言葉の理解力も育まれます。
- 親子のコミュニケーション促進: 体を使った非言語的なコミュニケーションと、「すごいね」「できたね」といった声かけによる言語的なコミュニケーションが同時に行われます。一緒に笑い合ったり、目を合わせたりすることで、安心感や信頼感が深まり、親子の絆がより強固なものになります。
- 感情表現: 自分の動きが親と同じになった喜びや、「できた」という達成感を感じることで、豊かな感情が育まれます。
対象となるおおよその年齢
1歳頃から3歳頃のお子さまにおすすめです。
お子さまが親の動きに興味を持ち始め、簡単な体の動きを真似できるようになる1歳頃から楽しめます。3歳頃になると、より複雑な動きを真似したり、自分で動きを考えたりすることもできるようになり、遊びの幅が広がります。
遊びを始めるために準備するもの
- 特別な道具や準備は必要ありません。
- お子さまが安全に体を動かせるスペースがあれば十分です。
具体的な遊び方のステップ
とてもシンプルで、すぐに始められます。
- 親が簡単な動きを見せる: まずは親が、手軽にできる体の動きをお子さまに見せてみましょう。例えば、
- 手をたたく
- 両手を上げて伸びをする
- 頭を左右に振る
- 足踏みをする
- しゃがむ
- 片足で立つ(お子さまが難しければ、親だけ見せる)
- 指を動かす(グーパーする、一本ずつ折るなど) 最初はゆっくり、大きく、わかりやすい動きから始めると良いでしょう。
- お子さまに声をかける: 親が動きを見せた後、「〇〇(お子さまの名前)、〇〇(親)と同じように、てて(手)をパチパチ(手をたたく動き)してみようね」のように、わかりやすい言葉で促します。
- お子さまが真似したら褒める: お子さまが親の動きを真似しようとしたら、「わあ、できたね!」「すごいね、〇〇と同じだね!」など、具体的に褒めてあげましょう。たとえ完璧に真似できなくても、真似しようとする気持ちや、できた部分を肯定的に受け止めることが大切です。
- 動きのバリエーションを増やす: お子さまが慣れてきたら、動きに変化をつけてみましょう。
- 速さ: ゆっくり動く、早く動く
- 大きさ: 体を大きく使う動き、指先だけの小さな動き
- 使う部分: 手だけ、足だけ、体全体
- テーマ: 車が走る真似、鳥が飛ぶ真似など、身近なものの動きを取り入れる(ただし、動物なりきり遊びとは異なり、あくまで「動き」に焦点を当てます)。
- 役割を交代してみる: お子さまが自分で動きを考えるようになったら、「次は〇〇の番だよ。ママにどんな動きを見せてくれる?」と声をかけ、お子さまが動いて親が真似をする番も作ってみましょう。これにより、お子さまは自分で考える力や表現する力を養い、遊びへの主体性が生まれます。
遊び中の子どもとの関わり方のヒント
- 楽しい雰囲気を作る: 親も一緒に動きを楽しみ、笑顔をたくさん見せましょう。遊びを通じて、親子の温かい時間を作ることが最も大切です。
- 肯定的な声かけ: 「すごいね」「上手になったね」「〇〇と同じ!」「できたね!」など、褒める言葉をたくさん伝えましょう。結果だけでなく、真似しようと頑張る過程も認め、励まします。
- 無理強いしない: お子さまが乗り気でない時や、難しいと感じているようであれば、無理強いはせず、すぐに別の遊びに切り替えたり、休憩したりしましょう。遊びはお子さまが楽しむことが一番です。
- アイコンタクトを大切に: 動きを見せたり、褒めたりする際には、お子さまの目を見て話しかけるように心がけると、より親子の絆が深まります。
安全に遊ぶための注意点
- 場所の確保: 周囲にぶつかるものがないか、床が滑りやすくなっていないかを確認し、安全な場所で行いましょう。
- 無理のない動き: まだバランスが不安定なお子さまには、転倒しやすい動きや、無理な体勢になるような動きは避けましょう。親がお手本を見せる際も、お子さまが安全に真似できる範囲の動きを選んでください。
- 体調の確認: お子さまの体調が良い時に行いましょう。疲れている時や機嫌が悪い時には無理せず、別の機会にしましょう。
遊びの準備や片付けを簡単にするための工夫
「まねっこ遊び」の最大の利点は、準備や片付けが一切不要なことです。特別な道具を使わないため、思い立ったときにいつでもすぐに始めることができます。家事の合間や、少し時間ができた時など、日常の様々なシーンに気軽に運動遊びを取り入れることができます。
まとめ
「まねっこ遊び」は、特別な準備がいらない、とても手軽な親子向け運動あそびです。親がお手本を見せ、子どもが真似をするというシンプルなやり取りを通して、お子さまは体の使い方を学び、様々な感覚を刺激し、観察力や集中力を養います。そして何よりも、一緒に体を動かし、笑い合う時間を通じて、親子の温かいコミュニケーションが育まれます。
完璧に真似することにこだわる必要はありません。お子さまが楽しんでいるか、安全に遊べているかを大切に見守りながら、親子のペースで遊びを取り入れてみてください。毎日のちょっとした時間に「まねっこ遊び」を取り入れることで、お子さまとの絆を深めながら、健やかな心と体の成長をサポートすることができるでしょう。