親の体でトンネルや橋に挑戦! はいはい・あんよ期の発達を促す親子運動あそび 生後8ヶ月頃〜2歳向け
子育て中の皆様、日々お子様の成長を温かく見守っていらっしゃることと思います。特にお子様が少しずつ体を動かせるようになると、一緒にどのように遊んだら良いかと悩むこともあるかもしれません。特別な道具や準備は不要で、すぐに始められる運動遊びがあれば、気軽に試せるのではないでしょうか。
この記事では、親御様の体そのものを使い、お子様が楽しみながら体の使い方やバランス感覚を養える簡単な運動遊びをご紹介します。はいはいやつかまり立ち、そしてあんよといった大切な時期に合わせた遊びを通して、親子の絆を深めることができるでしょう。
親の体を使った運動あそびの魅力
お子様にとって、親御様の体は安心できる基地であり、同時に新しい発見の場でもあります。親御様の体を使って遊ぶことは、単に身体を動かすだけでなく、温かい触れ合いや声かけを通じて、お子様の心を満たし、深い安心感を与えます。また、親御様の体の形や動きに合わせて自分の体をコントロールする経験は、体の使い方を学ぶ上で非常に貴重です。
この種の遊びは、特別な道具を必要とせず、思い立った時にすぐに始められる手軽さも大きな魅力です。
遊び方のご紹介
ここでは、お子様の成長段階に合わせて楽しめる、親御様の体を使った運動遊びをいくつかご紹介します。
1. 親の体で「トンネル」くぐり
対象となるおおよその年齢・月齢:
- ハイハイができるようになった頃(生後8ヶ月頃)から1歳半頃
準備するもの:
- 特別なものは不要です。広くて安全な床のスペースを確保してください。
- 柔らかいマットやカーペットの上で行うとより安心です。
具体的な遊び方のステップ:
- 親御様が床に四つん這いになります。お子様がくぐれるように、お腹と床の間に適度な空間を作りましょう。
- お子様を親御様の体の前に誘いかけます。
- 「トンネルだよ。どうぞ」などと優しく声をかけながら、お子様が親御様の体の下をくぐるのを促します。
- 初めは低いトンネルから始め、慣れてきたら親御様の体勢を変えたり、少しずつ高さを変えたりして難易度を調整しても良いでしょう。
遊びを通じて期待できる効果:
- 粗大運動の発達: ハイハイの動きを促し、全身の筋肉を使います。
- 空間認識: 自分の体がトンネルの中を通れるか、空間を認識する力を養います。
- 体幹の発達: 体を安定させて移動するために体幹が鍛えられます。
- 探索心と勇気: 安全な環境で新しい場所に挑戦する意欲を育みます。
- 親子の信頼感: 親御様の作った安全な空間を通り抜けることで、信頼感が育まれます。
遊び中の子どもとの関わり方のヒント:
- お子様がトンネルをくぐりたくなるような明るい声で誘いかけましょう。
- トンネルの向こう側から「おいでー」「待ってるよー」などと声をかけるのも効果的です。
- 無事にくぐれたら、「すごいね!」「よくできたね!」とたくさん褒めて、達成感を共有してください。
安全に遊ぶための注意点:
- 親御様は、お子様が体をぶつけないように、安定した体勢を保ってください。
- トンネルの下に硬いものや危険なものが落ちていないか確認してください。
- お子様のペースに合わせて行い、無理強いはしないでください。
2. 親の体で「橋」渡り
対象となるおおよその年齢・月齢:
- つかまり立ち〜あんよができるようになった頃(1歳頃)から2歳頃
準備するもの:
- 特別なものは不要です。広くて安全な床のスペースを確保してください。
- 柔らかいマットや布団の上で行うとより安心です。
具体的な遊び方のステップ:
- 親御様が床にうつ伏せになり、お尻を少し持ち上げて背中を緩やかな「坂」や「橋」のようにします。膝をついて四つん這いになり、背中を平らにするのも「橋」になります。
- お子様を橋の手前に誘います。
- お子様が親御様の背中の上を、腹ばいや四つん這い、またはあんよで渡るのをサポートします。
- 慣れてきたら、少しだけ背中の傾斜をつけたり、長さを変えたりして挑戦しても良いでしょう。
遊びを通じて期待できる効果:
- バランス感覚: 不安定な親御様の背中の上を移動することで、バランスを取る力が養われます。
- 体幹の発達: 体を支え、バランスを保つために体幹を使います。
- 体の使い方: 高いところを乗り越える、重心移動といった体のコントロール方法を学びます。
- 固有受容覚の発達: 自分の体の位置や動き、かかっている負荷などを感じる感覚が刺激されます。
- 親子の触れ合いと絆: 体全体を使った触れ合いは、深い安心感と愛着を育みます。
遊び中の子どもとの関わり方のヒント:
- 「橋を渡ってみようか」「慎重にね」など、動きを言葉で表現して促しましょう。
- お子様が渡る間、隣で見守ったり、必要であれば手を取って補助したりしてください。
- 渡りきったら「やったー!」「上手に渡れたね!」と喜びを分かち合いましょう。
安全に遊ぶための注意点:
- 親御様は、お子様が背中の上で不安定にならないよう、体をしっかりと固定し、無理のない体勢で行ってください。
- お子様が転落しないように、常にそばで見守り、必要に応じて補助できるようにしてください。
- 高いところからの落下は危険ですので、お子様の身長や能力、場所に応じて無理のない高さで行ってください。
3. 親の体で心地よい「揺れ」を感じる
対象となるおおよその年齢・月齢:
- 首がしっかり座った頃(生後6ヶ月頃)から2歳頃
準備するもの:
- 特別なものは不要です。周りにぶつかるものがない、安全な場所を確保してください。
具体的な遊び方のステップ:
- 親御様が座り、お子様を膝の上に乗せて優しく前後に揺らします。
- 安全に抱っこした状態で、ゆっくりと左右に揺れたり、回転したりします。
- 「たかいたかい」のように、お子様の体を支えながら優しく上下に持ち上げたり下ろしたりします。
遊びを通じて期待できる効果:
- 前庭感覚の発達: バランス感覚の基盤となる前庭感覚(体の傾きや速さを感じる感覚)を心地よく刺激します。
- 安心感と信頼感: 親御様の温もりと心地よい揺れは、お子様に深い安心感を与え、愛着形成を促します。
- ボディーイメージの発達: 体がどのように動いているかを経験することで、自分の体への気づきを深めます。
遊び中の子どもとの関わり方のヒント:
- 童謡や手遊び歌に合わせて揺らすと、より楽しくなります。
- お子様の表情をよく見て、心地よさそうにしているか確認しながらペースや動きを調整してください。
- 「ゆーらゆーら」「たかーい」など、動きに合わせて声かけをしましょう。
安全に遊ぶための注意点:
- お子様の首や体をしっかりと支え、落下しないように注意してください。
- 急激な動きや激しすぎる揺れは避けてください。
- お子様の機嫌や体調の良い時に行い、眠い時やぐずっている時は控えてください。
- 特に「高い高い」や回転遊びは、周囲に十分なスペースがあることを確認してから行ってください。
遊びの準備や片付けを簡単にする工夫
これらの遊びは、特別な道具を使わないため、準備や片付けの必要がほとんどありません。思い立った時にすぐに始められ、遊び終わったらすぐに次のことに移れる手軽さが大きな利点です。安全な場所を確保することだけを心がければ、気軽に日常に取り入れることができるでしょう。
遊びを通じて育まれるもの
ご紹介した親の体を使った運動遊びは、お子様の身体的な発達(粗大運動、体幹、バランス感覚、空間認識、感覚統合)を促すと同時に、親子の温かい触れ合いを通じて、お子様の心の発達にも良い影響を与えます。親御様との安心できる関わりの中で体を動かす経験は、自己肯定感や新しいことへの挑戦意欲を育む土台となります。
お子様が安心して思い切り体を動かせるのは、親御様がそばで見守り、受け止めてくれるからです。遊びを通じて、たくさんの笑顔と体の成長を一緒に感じてください。
まとめ
初めての育児では、お子様との遊び方に迷うこともあるかと存じます。しかし、お子様は身近な存在である親御様の体を使って遊ぶことからも、多くの学びと喜びを得ることができます。今回ご紹介した「トンネル」「橋」「揺れ」といった遊びは、特別な準備なしに始められ、お子様の心と体の両方の成長をサポートし、親子の絆をより一層深める機会となるでしょう。
これらの遊びを参考に、お子様との触れ合いの時間を大切にしながら、運動遊びを気軽に取り入れてみていただければ幸いです。お子様の「できた!」という喜びを一緒に分かち合い、親御様ご自身も楽しみながら、親子の時間をお過ごしください。