「ストップ！」で止まれるかな？親子で楽しむ体のコントロール遊び 集中力と聴覚反応を育む 1歳半頃から3歳向け
遊びの中から育まれる体のコントロール力
お子様との日々の関わりの中で、「遊びを通じて何か働きかけたいけれど、どんな遊びが良いのだろう」「特別な準備は難しい」と感じていらっしゃる方も多いかもしれません。子どもたちが楽しみながら体を動かし、様々な感覚を育むための遊びは、実はご家庭にあるものや、特別な道具を使わなくても十分に実践できます。今回は、親御様の声かけに反応して体を動かしたり止めたりする、シンプルながらも奥深い室内運動あそびをご紹介します。
この遊びは、お子様が自分の体を意図した通りにコントロールする力を育むだけでなく、親御様の声や指示を理解し、反応する聴覚的な能力や集中力も同時に養うことができます。そして何より、親子の温かいコミュニケーションの中で、お子様が安心して体を動かす楽しさを感じられる時間となるでしょう。
「ストップ！」で止まれるかな？遊び方
この遊びは、広いスペースがなくても室内で行うことができ、道具は一切必要ありません。対象は1歳半頃から3歳頃のお子様を想定していますが、お子様の発達に合わせてアレンジが可能です。
対象となるおおよその年齢や月齢
1歳半頃から3歳頃
遊びを始めるために準備するもの
特別な準備物はありません。動きやすい服装で行いましょう。
具体的な遊び方のステップ
- 場所の確保: 室内で、お子様が安全に数歩走ったり、くるっと回ったりできる程度の、障害物のないスペースを確保します。
- ルールの説明: 簡単な言葉で遊びのルールを伝えます。「ママ（パパ）が『ゴー！』と言ったら動いてね、『ストップ！』と言ったらピタッと止まってね」など、分かりやすい言葉を選びます。
- 遊びの開始:
- 親御様が「ゴー！」と声かけをし、お子様にその場で足踏みをしたり、数歩歩いたり、体を動かしてもらいます。親御様も一緒に動くと、お子様は安心して遊びに参加しやすくなります。
- 数秒から数十秒ほど動きを続けさせた後、親御様が「ストップ！」と声かけをします。
- お子様が声かけを聞いて、その場で動きを止められたら、「ピタッと止まれたね！すごい！」などと褒めます。
- もしすぐに止まれなくても、「次は止まれるかな？」と優しく促します。
- バリエーション:
- 「ゴー！」で色々な動き（ジャンプ、片足立ち、くるっと回るなど）を取り入れる。
- 「ストップ！」の前に、短い歌や手遊び歌などを挟んでから声かけをする。
- お子様が慣れてきたら、少しずつ「ゴー！」で動く範囲を広げる（部屋の中を少し移動するなど）。ただし、安全な範囲で行います。
- 役割交代（対象年齢が高めの場合）: 3歳頃になり、遊びを理解できるようになってきたら、今度はお子様が親御様に対して「ゴー！」「ストップ！」と声かけをする役割に挑戦するのも良いでしょう。
遊びを通じて期待できる効果
- 体のコントロール能力の発達: 動き出す、止まるという単純な動作ですが、自分の意図した通りに筋肉を働かせ、体の動きを制御する基本的な能力（粗大運動）を養います。
- 指示理解と聴覚反応: 親御様の声かけを注意深く聞き取り、「ゴー」「ストップ」という言葉の意味を理解し、それに応じて行動を変える練習になります。聴覚情報を処理し、適切な行動に繋げる力を育みます。
- 集中力: 親御様の声かけに注意を向け、いつ「ストップ！」と言われるか意識することで、自然と集中力が養われます。
- 親子のコミュニケーション促進: 声かけを通じて遊びが進むため、自然な形で親子の言葉のやり取りが増えます。親御様の笑顔や声のトーンは、お子様にとって安心感と楽しさを与えます。
- 感情表現: 上手くできた時の喜びや、繰り返し挑戦する中で生まれる達成感など、様々な感情を経験し、表現する機会となります。
遊び中の子どもとの関わり方のヒント
- お子様が止まれなくても、叱るのではなく「惜しかったね」「次はできるかな？」と優しく励ましましょう。
- 上手に止まれた時は、「ピタッと止まれたね！すごいね！」「〇〇ちゃん、お耳でママの声を聞いて、上手に止まれたね！」など、具体的に褒めることで、お子様の自信に繋がります。
- 親御様も一緒に動いたり止まったりして、楽しんでいる様子を見せることで、お子様の遊びへの意欲を高めることができます。
- お子様のその日の状態や気分に合わせて、遊びの時間を調整したり、無理強いはしないようにしましょう。
安全に遊ぶための注意点
- 遊ぶスペースに、転びやすいものやぶつかると危ないものがないか、事前に確認します。
- お子様の体調が優れない時や眠い時、空腹時などは無理に遊びを行わず、休息を優先します。
- お子様が勢い余って転んでしまわないよう、動きすぎないように優しく見守り、声かけで調整します。
- フローリングの場合は滑りやすいことがあるため、裸足や滑り止め付きの靴下などで安全に配慮します。
遊びの準備や片付けを簡単にするための工夫
この遊びは特別な道具を使わないため、準備も片付けも一切不要です。お子様が「遊びたいな」と感じた時や、親御様が少し時間がある時に、すぐに始めることができます。日常生活の中に気軽に取り入れやすい点も大きな魅力です。
遊びを通じて深まる親子の絆
「ストップ！」で止まる遊びは、シンプルだからこそ、お子様と向き合う時間を純粋に楽しむことができます。親御様の声に耳を澄まし、体を動かすお子様の姿は、成長の喜びを感じさせてくれることでしょう。遊びを通じて生まれる笑顔や、ピタッと止まれた時の親子の喜びの分かち合いは、きっと心温まる大切な時間となります。難しいこと考えず、まずは親御様ご自身も楽しむ気持ちで、お子様との運動あそびの時間を始めてみてください。