親子で落として拾う!身近な布やタオルで楽しむ運動あそび 追視と体の使い方を育む 生後7ヶ月頃〜1歳半向け
はじめに
お子様との毎日、どのように過ごされていますか。特に初めての育児では、お子様との遊び方に迷われることもあるかもしれません。外に出かけるのが難しい日や、特別な準備をする時間がない時でも、お家で手軽にできる運動遊びは、お子様の心と体の成長を促し、親子の絆を深める大切な時間となります。
この記事では、お家にある身近な布やタオルを使った簡単な運動遊びをご紹介します。布やタオルを「落とす」「追いかける」「拾う」というシンプルな動作を通して、お子様の体の使い方や感覚の発達を促すことができます。生後7ヶ月頃から1歳半頃のお子様を対象に、成長段階に合わせた遊び方のヒントと、遊びから期待できる効果、安全に楽しむための注意点をお伝えします。
身近な布やタオルで楽しむ「落として拾う」運動あそび
この遊びは、親が布やタオルを優しく落とし、お子様がその動きを目で追いかけたり、落ちたものを掴もうとしたり、拾い上げたりする一連の動作を楽しむものです。お子様の月齢や発達段階に合わせて、遊び方を少しずつ変化させながら行うことができます。
対象年齢の目安
生後7ヶ月頃から1歳半頃までのお子様が対象です。 この時期のお子様は、寝返り、おすわり、ハイハイ、つかまり立ち、そしてあんよへと、目覚ましいスピードで運動能力が発達します。それぞれの段階で、布やタオルを使った「落として拾う」遊びから、異なる学びや気づきが得られます。
準備するもの
- お家にある柔らかい布やタオル
特別な道具は必要ありません。お子様が掴みやすい、薄手で柔らかい布やタオルが適しています。誤って口に入れても安全な素材を選び、極端に小さなものや、逆に大きすぎて顔にかかってしまうようなものは避けてください。
具体的な遊び方のステップ
お子様の成長に合わせて、以下のようにステップアップして遊ぶことができます。
ステップ1:目で追う(生後7ヶ月頃〜、おすわり期)
- お子様をおすわりの姿勢にします。親はお子様の目の前で、手に持った布やタオルをゆっくりと落とします。
- 布がひらひらと落ちていく様子を、お子様が目で追いかけるように促します。
- 「あ、落ちたね」「どこかな?」などと優しく声をかけながら、お子様の視線の動きを観察します。
- 落ちた布を指差したり、優しく触れてみたりして、お子様の興味を引きます。
ステップ2:ハイハイで移動する(生後8ヶ月頃〜、ハイハイ期)
- ステップ1と同様に布を落としますが、少しお子様から離れた場所に落とします。
- お子様が布に興味を示したら、ハイハイで布の場所まで移動するように促します。
- 布にたどり着いたら、触ってみたり、掴もうとしたりする様子を見守ります。
- ハイハイの距離を少しずつ長くしたり、布を複数枚用意してあちこちに落としてみたりするのも良いでしょう。
ステップ3:拾い上げる(生後10ヶ月頃〜、つかまり立ち・あんよの練習期)
- お子様がつかまり立ちや、伝い歩き、短い距離のあんよができるようになってきたら、立った状態から布を落とします。
- 落ちた布を拾うために、しゃがんだり、膝を曲げたりする動作を促します。
- 最初は親が一緒にしゃがんで見本を見せたり、手を添えたりしても良いでしょう。
- 布を拾い上げられたら、「すごいね!」「拾えたね!」とたくさん褒めて、達成感を共有します。
ステップ4:親子のキャッチボール(1歳頃〜、あんよ期)
- お子様があんよで安定して移動できるようになったら、少し距離をとって向かい合います。
- 親が布を優しくお子様に向かって投げたり、転がしたりします。
- お子様は落ちてきた布を目で追いかけ、拾い上げます。
- 拾った布を親に渡してもらうことを促します。布を渡すという簡単な「キャッチボール」の始まりです。
- 布なので、当たっても痛くなく、安心して楽しめます。
遊びを通じて期待できる効果
このシンプルな「落として拾う」遊びは、お子様の様々な発達を促します。
- 追視能力の発達: 動く布を目で追いかけることで、視線を滑らかに動かす追視の力が養われます。これは今後の学習や、スポーツなど様々な活動の基礎となります。
- 体の使い方の習得: おすわりからハイハイ、つかまり立ち、あんよ、しゃがむ、立つといった、全身を使った基本的な運動能力が自然と促されます。床の布を拾うためには、体幹を使いバランスを取りながら、股関節や膝を曲げる動きが必要になります。
- 手先の協調性: 落ちた布を掴む、拾い上げる、親に渡すといった動作は、目と手を協調させて動かす練習になります。
- 固有受容覚の刺激: 体を曲げたり伸ばしたり、手で物を掴んだりする際に、関節や筋肉が今どのような状態にあるかを脳に伝える固有受容覚が刺激されます。これは自分の体の位置や動きを把握するために重要な感覚です。
- 親子のコミュニケーション促進: 「あ、落ちたね」「どこかな?」「すごい!」といった声かけは、言葉の理解を促し、親子の温かい関わりを生み出します。一緒に笑ったり、喜んだりする時間は、お子様の感情の発達にも良い影響を与えます。
子どもとの関わり方のヒント
- 声かけと応答: お子様の行動に合わせて、「ひらひら落ちたね」「拾えたね、すごい!」などと具体的に言葉をかけましょう。お子様が何か声を出したり、布を見たりしたら、「見つけたね」「そうだよ」などと応答し、コミュニケーションを楽しみましょう。
- 褒める: できたこと、挑戦したことを積極的に褒めましょう。結果だけでなく、布に手を伸ばそうとしたことや、ハイハイで近づいたことなど、過程も認めると、お子様の意欲が高まります。
- 無理強いしない: お子様が興味を示さない、遊びに集中できない時は、無理に続けさせず、別の遊びに切り替えたり休憩したりしましょう。遊びは楽しい時間であることが最も大切です。
- 安全な環境: 遊ぶ場所は、床に尖ったものや小さなものが落ちていないか確認し、安全な広いスペースを確保してください。布やタオルは、お子様の首に巻き付かないようなサイズや形状を選びましょう。
- 一緒に楽しむ: 親自身も遊びを楽しみましょう。親が楽しんでいる姿は、お子様にとって何よりの喜びであり、遊びへの関心を高めます。
遊びの準備や片付けを簡単にするための工夫
布やタオルを使った遊びの最大の利点は、準備と片付けが非常に簡単なことです。遊ぶ際には、すぐに取り出せる場所(例えば、リビングのバスケットなど)に布やタオルをまとめておくと便利です。遊び終わったら、畳んで元の場所に戻すだけなので、後片付けに時間を取られる心配がありません。
まとめ
身近な布やタオルを使った「落として拾う」運動あそびは、特別な準備なしに、お子様の様々な発達を促すことができる手軽で効果的な遊びです。お子様の月齢や発達段階に合わせて遊び方を工夫することで、おすわり、ハイハイ、あんよといった成長の節目ごとに違った楽しみ方ができます。
この遊びを通して、お子様は視覚、体の使い方、手先の協調性といった運動能力だけでなく、好奇心や探求心も育んでいきます。そして何より、親子の温かい触れ合いや、一緒に笑い合う時間は、お子様の心の安定と、親子の信頼関係を築くかけがえのない宝物となります。
今日からでも、お家にある布やタオルを使って、お子様との運動あそびの時間を楽しんでみてはいかがでしょうか。お子様の成長を間近で見守りながら、親子の絆をより一層深める機会となることを願っています。